書籍「不登校そうだんしつ」出版

あべが思うこと

輪をかけない

学校へ行けないことで、つらい思いをしている子は多いです。


しかし、
つらい思いに輪をかけて「それ以上の」つらさにしているのが、
実は周りの大人だったりします。

 

例えば、学校へ行けない中学生に対して、
「不登校でも仕事を選ばなければ生きていけるさ、頑張れ、いつか立ち直れ」
などと励ます言葉は、
将来が悲観的なものなのだとわざわざ言っているようなもの。


実際には高校も大学も専門学校も選べる時代で、仕事のことなど心配しなくても良い時代になっているのにもかかわらず、つい違うように伝わってしまいます。

 

つらい気持ちになっている子を励ましてあげるときには、
事実だけ伝えてあげれば十分です。

 

大人の推測は、かえって逆効果になることがあります。

 

余計な推測をしてしまうならば、
将来の心配よりも、今の心配をしてあげるイメージを持ちましょう。
余計な推測や誤った情報は、つらさに輪をかけてしまうだけになります。

 

どうしても大人は先のこと先のことを考えがち。それに加えて、つい先入観でマイナスのイメージから抜けられないこともありがちです。

 

そんなときに一生懸命に励まそう励まそうとしすぎると、
本人にはマイナスの将来ばかりが植えつけられていきます。実際にはそんなことないのに。

 

どうしても将来に良いイメージが持てない場合は、
今のこと、目先のこと、を「励ます」というよりも「安心させてあげる」イメージを持ってみましょう。

 

いじめでつらい子に対して、
「これから先、いじめが続いても負けないように、精神力を鍛えて頑張ろう、応援するから」
などと言うよりも、
「自宅にいれば安心だよ」と声をかけてあげれば良いということです。

 

「得意な勉強を頑張って、いつか必ず見返してやろう」と励ますよりも「マンガでも読みな」と言って安心させてあげた方が良いこともあります。

 

起こりもしない試練を大人がイメージで勝手に作らないようにしましょうね。

 

「思い続けていると本当にそうなる」
ということは往々にしてあります。

 

だったら、中途半端な将来のことではなく、
ずっと先の20年や30年先くらいの将来に、つらい気持ちが回復している姿をイメージしてあげて下さい。

 

そうでなければ、やはり今の心配をしてあげて、今の安心を与えてあげましょう。

 

先入観やマイナスのイメージによって、つらさに輪をかけてしまうくらいなら、
とにかく今を安心させてあげましょう。

 

本人が安心を感じられることで、実は保護者のみなさんも安心を得られるかもしれません。

 

ちょっと先の将来については、
そうやっていったん安心して、落ち着いてからの方が冷静に考えられるものですし、
その方がプラスにも思えるようになりますし、
「思い続けていると本当にそうなる」ものです。