書籍「不登校そうだんしつ」出版

あべが思うこと

家の居心地がイイから学校へ行けなくなる

ボクがご相談を受けるケース、特に保護者の方の場合、
ボクよりも前に、他の方からのアドバイスやカウンセリングなどを受けた経験のある方が多いです。

そんな中、
「家の居心地がイイから学校へ行かなく(行けなく)なる」と、
言われた経験のある方は少なくありません、
保護者仲間に言われていたり、身内の方に言われていることが多いですね。

もちろん、
悪気があって言っているわけではないでしょうし、
確信を持って言われていたり、親身になって言ってくれているのだと思いますので、
そういうアドバイスをしている方々自体を否定するつもりはありません。

ただ、
「家の居心地がイイから行かない」というセリフに関しては、

そんなわけないじゃないか、と思います。

今の大人以上の世代ならではの、とてもこわい発想だともおもっています。

学校へ通っていない子は、
大なり小なり、「学校での居心地」が良くないわけです。

そういう子に、
「家の居心地」まで奪うことは、単純にかわいそうです。


ボクの知る限り、
「家の居心地が良くない」という理由で学校へ足を運ぶ子は、
その心境を聞けば聞くほど、残念な気持ちになります。

「すごく嫌」なものから逃げるために「嫌」なことを我慢しているわけですから、
やりきれないです。


そういう理由だけで学校へ行く子は、
上記のように我慢を強いられているか、
もしくは、授業中に音楽を流して弁当を食べて警察に名前を覚えられているような、いわゆる不良と呼ばれる子だったりします。

不登校生にとって、
「家の居心地をわるくする」ことで招く結果は、
「登校」ではなく「家出」の方が、確率は高いです。

居心地のイイ場所がなくなることで、
自分が生きる意味を感じられなくなる子もいます。


繰り返しですが、
大なり小なり「学校の居心地」が良くないから、不登校なのです。

だったら、せめて自宅くらいは、居心地を良くしてあげてイイと思います。

「あなたの家は、居心地が良すぎるから学校へ行かなくなるのよ」なんてアドバイスをされたら、
「そうなのか」と落ち込むのではなく、
むしろ、「それなら良かった」くらいに思ってもイイと思いますよ。


こういうことを書くと、
「自分の部屋の居心地が良すぎると、ひきこもってしまう」という現象のことを指摘されそうですが、
それは、
「居心地がイイから」なのではなく、
「居心地のイイ場所が、自分の部屋しかないから」、という方が正確です。

居心地が良すぎてそこにいるのではなく、
他に居心地のイイ場所を感じられないだけです。

そういう状態の子を「部屋から外へ出そう」として、
「自分の部屋の居心地をわるくすれば」と考えるのではなく、
台所でも廊下でも玄関でも、他に居心地のイイ場所を感じてもらえるようにしてあげて欲しいと思います、その方が、お互いにストレスも軽減されますし。

食卓の居心地が良くないから、自分の部屋で食べるんです。
「自分の部屋で食べることが好き」というわけでも、ありません。

「ゲームばかりしているから、ゲームを取り上げる」という考えにボクが反対なのは、
そういうことです。


不登校生の中で、
「家の居心地がわるい」と感じている子は、
保護者の方が思う以上に多いです。
でも、反抗期などであれば、どんな環境であれ多少の不満を持っているのは自然なことですけどね。

しかし、いずれにしても、
「家の居心地がイイから学校へ行かない」というわけでもないのです。
「居心地がわるい」と感じていても、
行けないものは行けないですし、行かないものは行かないのです。


単純に考えましょう、
家の居心地は、イイ方がイイに決まってるじゃないですか。

「家の居心地がイイ」なんて、素晴らしいことじゃないですか、
本人にとっても、家族にとっても、幸せなことです。

そっちをどんどん目指しましょうよ。


ちなみにボクは、
「家の居心地がイイ」ほうが、
むしろ、学校へも行きやすくなると思っています。

なぜか、ということを書くと長くなりすぎるので書きませんが、
間違いなく、そう思っています。