書籍「不登校そうだんしつ」出版

あべが思うこと

負けてみる


 

悩んでいる方へのアドバイスとして、
よく「人と比べないように」「比較をしないように」と言われます。ボクも似たようなことは言っています。

「比較しない」。
それができれば、それはそれでいいです。

ご自分の子育てと、周りの子育てを比較しない。
お子さんの長所や短所と、どこかの子の長所と短所を比較しない。

それができればいいと思います。

 

けど、
ちょっと難しいと感じている方もいらっしゃるでしょう。

 

比較しないのは難しい、

どうしても比較してしまう、という場合は、

「比較しない」を
「負けてみる」としてみて下さい。


比較をしないのではなく、
あえて比較をして、そして「もうウチの負けでいいや」と
「負けてみる」のです。

比較をするという内面には、
どうしても相手に勝ちたいという気持ちが生じます。

勝ちたいから頑張る、のですが、
勝ちたいから頑張りすぎてしまうこともあります。

勝ちたいから気になってしまい、
勝ちたいからイライラしてしまい、
勝ちたいから期待をしてしまい、
勝ちたいから、負けたくないから、必要以上に落ち込んだりもします。


もう、
負けてしまえばいいんです。

「もう負けでいいや、はい終わり」くらいで、
アッサリと負けてみて下さい。

その瞬間、
勝とうとする相手もいなくなります。


もう「勝負」はついているのですから、
勝つとか負けるとか、比較とか、そんな必要もなくなります。

そして、
負けてみてしまえば、もう、負けることもこわくなくなったりします。

それまで、
負けたくない、負けたくない、と無理をしていたことも、
負けてみることで、そんな必要がなくなるわけです。

負けてみても、
命までとられることはないですし、
おそらくそんなに生活も変わらないということを知るでしょう。

だったら、いったん負けてみた方が楽なこともあります。


「もういいや、ウチは負けでいいや」、
そんな言葉をご自分にかけてみて下さい。

そこで知るのは、
負けの味、ではなく、
勝ち負けではない世界、になるはずです。

勝ちたい相手を意識する必要がなく、
本当に意識しなければいけないことに目を向けられる世界、です。

なんとなく伝わりますか。

「比較しない」が難しい方は、
「負けてみる」をやってみて下さい。


「断じて負けてはいけない」という場面もあるでしょう。
「なにがなんでも勝つ」と決意をするようなこともあるでしょう。

そういうときは、
そういうときで頑張ればいいのです。

他のことは、
「負けてみる」ことも頑張ってみましょう。



そもそも、
子育ては「勝負事」ではないですからね。

そもそも勝ちも負けもないのです。

かけっこで勝負。成績で勝負。
そんなときに頑張るのは構いませんし、

頑張れるのであれば「勝とう」「負けないぞ」と頑張ればいいのです。

しかしそれは、
「かけっこ」の勝負であり、
「成績」の勝負であって、
決して、
「子育て」を勝負しているわけではないですよね。


「周りと比較をせず、自分らしく」ということが難しい場合は、

「負けてみる」をやってみましょう。
「もう負けでいいや」と口に出して言ってみましょう。

その瞬間、
ご自身の、あるいはお子さんの「自分らしさ」が生まれたりするかもしれません。

ややこしいですね。

ややこしさついでに書いておきますと、

「負けてみる」ことが、
実は自分自身の「勝利」だったりすることもあると思っています。
 

 

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