書籍「不登校そうだんしつ」出版

あべが思うこと

刺激

 


「登校刺激」というコトバを聞いたことのある方は多いと思います。

 

意味については、読んで字のごとくですね。

 

専門家やカウンセラーの中で

「登校刺激は控えましょう」という人もいれば、

「登校刺激は必要だ」という人もいます。

 

ボクはどちらなんだと聞かれることもありますが、

その前に。

 

 

そもそも「登校刺激」というコトバが

ボクは好きじゃありません。

 

どうして刺激の先にあるものが「登校」なのだろう、と。

 

 

「登校刺激」ではなく

「行動刺激」とか「活動刺激」とか、そういう表現になって欲しいな、と。

 

その前提であれば、

刺激は必要だと考えています。

 

別に「登校」に限らないのであれば

本人が少し前進できるような刺激、ちょっと動けるような刺激は

大人が与えてあげられるのがベターだと思っています。

 

しかし、

「刺激」というコトバも違和感があります。

 

「きっかけを与える」とか

「そっと背中を押す」とか、そういうニュアンスで捉えて欲しいなと思います、特に保護者の方は。

 

 

先ほど「刺激は必要」と書きました。

 

それは間違いないのですが、

保護者の方が刺激を与えようと考えるとき、

それは「早い」ことと「強い」ことが大半です。

 

刺激を与えようとして

「どういうセリフを言えば、動くようになりますか」などと質問をされる時点で早いです。

 

また、

1回や2回のセリフでどうにかしたいと考える時点で、刺激のイメージが強いです。

 

 

どちらも、あまりおすすめしません。

仮に、決定的なセリフで一気に登校を始めるような刺激が与えられたとすれば、

かえってボクは心配になります。

 

まずは回復が先です。

そうでないと、そもそも刺激に耐えられません。

 

 

そして刺激は

「そっと背中を押す」イメージです。

そっと押しても動けないようであれば、あるいは倒れてしまいそうになったら

すぐに抱きかかえてあげる、そんなイメージです。

 

回復に務めてあげるとともに、

「そっと」を何回も繰り返してあげて、

ゆっくりゆっくり少しずつ、

なにも変わっていないような感じで、刺激を与えてあげる、それくらいのイメージです。

 

そのイメージさえできれば、

セリフは何でも構わないと思っています、本人を傷つけるようなものでなければ。

むしろ「学校どうする?」「ちょっと外へ行ってみる?」とストレートなセリフが良い子も多いです。

 

例えば、

 

「ちょっと買い物へ行くけど、一緒にどう?」

「うーん、やめとく」

「そう、暑いし無理しない方がいいね、じゃ行ってくるわ」

 

くらいで。

 

 

ちなみに、

ボクは「遠回し」が、あまり好きじゃありません。

 

「なにも言わずに学校のプリントだけ置いておく」とかは、

個人的にはやらないですし、おすすめしないです。

 

嫌でも学校のことが頭から離れないでいる子に対して、

わざわざ遠回しに学校を意識させるような「刺激」よりも

きちんと言葉にしてあげて欲しいと思っています。

 

 

刺激は必要だと考えています。

 

しかし、

 

「刺激」の先にあるものが

「登校」だけを目的としたものではなく

「生きていくこと」を目的としたものにしましょうね。

 

 

ここでいう「刺激」とは、

その言葉の印象と違い、

とっても優しく温かいものだろうとボクは思っています。