書籍「不登校そうだんしつ」出版

あべが思うこと

山登り

なんか、山登りみたいなもんだと思うんです.

とりあえず、みんなで上を目指して歩く。

なぜだかよくわからなくても、「そこに山があるから」みたいな感じで

とりあえず、上を目指して歩く、登る、登ろうとする。

 

みんなと一緒に登っていると安心ですよね。

周りにみんながいれば安心。みんなと同じルートで登っていれば安心。

 

だけど本当は色んなルートがある。

 

上を目指して歩く道って、実は1つじゃなかったりします。

 

傾斜が急だけれど時間が早い、というルートもあれば

逆に、ゆるやかな傾斜だけど時間がかかる、というルートもあったり、

 

あんなルートもあれば、こんなルートもある。

 

本当は自分に合ったルートを進めばイイし、

合わないルートだったら“進路変更”したってイイし、

いったん下まで降りてから、やり直したって本当は構わないはずですなんです。

 

色んなルートがあるわけですからね。

 

みんなと一緒に登っていると安心。

でも、みんなとちょっと離れてしまうと不安になります。

 

自分よりも、ずいぶん先をみんなが歩いているのを目にすると

どうしても不安になります、追いつきたくなります、それは仕方がありません。

 

でも、だからといって

急いで追いつこうとして、走って登ったりしたら大変です。

 

山は歩いて登るもの。

一歩ずつ一歩ずつ、踏みしめながら進むもの。

 

それを、不安のあまりに走ったりしては具合がわるくなってしまいます。

 

みんなが先の方を歩いているのが見えていても、

走っちゃいけません。焦っちゃいけません。

 

そもそも、頂上まで登らなきゃいけないのか、って話でもあるんです。

 

頂上を目指す人は目指せばイイ、それはそれでイイ。

 

でも、頂上まで行けなくたって

五合目くらいの景色を楽しむのもイイですし、

 

無理に上を目指さなくなって、

ふもとから山を眺めていたってイイと思うんです、登りたいときに登ればイイ。

 

自分のココロやカラダを痛めつけながら頂上を目指す人もいれば、

自分のココロやカラダを大事にしながら、周りの景色や空気を満喫できる人もいる。

 

どっちでもイイんです。

山があるからって頂上を目指さなきゃいけないわけじゃないですし、

みんなが歩いているからって、同じように歩かなきゃいけないわけじゃない。

 

ちょっと休憩したからこそ、味わえる空気があり、

ちょっと違うルートだからこそ、楽しめる風景があるかもしれません。

 

山登りって、そんなものかなって思うんです。

 

みんなが登っている光景を見るよりも、

自分の周りの風景を見ていた方がイイ気がします。

 

転んじゃうこともあるかもしれません。

でも、もしかしたら

転んだ目の前に、きれいな花を見つけることがあるかもしれません。

 

みんなと離れて不安かもしれません。

でも、もしかしたら

離れているからこそ聞こえてくる小鳥の声が耳に響くかもしれません。

 

あんまり他の人ばかりを見るよりも、

自分の周りを見ていた方がイイんです。

 

そして、無理に走ったりはしないこと。

 

走りたければ走ってもイイんですけど、

走ったら、ちゃんと休むこと。

そして、走るのであれば、楽しみながら走ること。

 

無理に走っちゃいけません、山登りなんですから。

 

「そこに山があるからだ」と言って、

 

頂上まで登る人もいれば、

途中まで進んで景色を満喫するもいれば、

その山を眺めて楽しむ人もいる。

 

それでイイと思うんです。

 

たぶん、

 

山だって、そう思っているはず、なんて思ったりします。

 

「みんながみんな、一緒になって頂上まで来ることはないよ」って。