書籍「不登校そうだんしつ」出版

あべが思うこと

食欲のないときに料理を出される

「学校へ行こうと思っていても、行けない」

そんな本人の気持ちについて
「知りたい」「どうしてなの」「なんで行けないの」と思われる保護者の方は、
いらっしゃると思います。

ご自分が学校へ「行けてた」という方であれば、なおさらかと思います。
なかなか理解はできませんよね。

では、「学校へ行くこと」とは
ちょっと違う形でイメージしてみましょうか。

全く食欲がない、としましょう。

学校へ行けない、という経験はなくても、
食欲がない、という経験をされたことのある方は多いのではないでしょうか。
体調不良だったり、悩みを抱えてしまっていたり。

ひとまず、
全く食欲がない、とします。

そこへ、なにか料理を出されたとします。

さて、食べられますか。

たいていは、食べられませんよね。
食べた方がイイということはわかっていても、
せっかくの料理だということはわかっていても、
残してはもったいない、いけないことだとわかっていても、

おそらく、食べられないですよね、だって食欲がないのですから。

本当に食欲がないときには、
それが大好物の料理だったとしても、食べられないでしょう。


料理を目の前にしても、食欲がない。

そんなとき、

「こないだは、ぺろっと食べたじゃない」
「栄養をとらないとダメよ」

などと言われても、難しいですよね。

無理やり口に押し込んでも、美味しくなんかないですし、
本当に食欲がないときには、「無理やり」すらできないかもしれません。

「自分が食べたいって言ったんでしょ」
「昨日は『食べる』と約束したじゃない」

ここまで“食べる理由”を並べられても、
食欲がない状態だとどうですか、もう、つらいですよね。

食欲がないのもつらいですし、
追い打ちをかけるような言葉はさらに、つらい。

そんなイメージです。

そして、もう1つ言いたいことは、この続きです。


料理を出されても食欲がない、食べられない。

そんなとき、
どういう対応をしてもらうと、楽になりますか。

「無理して食べなくていいよ」ですよね、おそらく。

だけど、ずっと食べないでいたのでは、
身体によくありません。

仮に、お子さんが「食欲ないんだ」と言っていた場合、
どういう対応をするでしょうか。

「無理して食べなくていいよ」と声をかけつつ、

例えば、
「食べやすいもの」や「消化の良いもの」を作ってあげよう、と
考えたりはしませんか。

消化が良くて、食べやすいものを、
少しでも食べてくれて、少しでも栄養をとってくれれば、と。


ご自分が食欲のないときにでも、
そういう対応をしてもらえたら、気持ちが楽になり、ありがたいですよね。

そして、
「元気になったら、美味しい料理を食べようね」なんて声をかけてもらえたら、
ちょっと前向きになれたりするかもしれません。


「学校へ行けない」のも、ある面では似たようなものです。

だとすれば、
「無理やり」はよくないですし、
また、「無理しなくていいよ」と言いつつ、

“消化の良いもの”を与えてあげたいものです。


今の本人にとって、
なにが“消化の良いもの”なのか、
考えてみてあげて下さい。

食欲がないときと同じで、
「楽になった」「ありがとう」と本人が感じられるようなものが、
「消化の良いもの」ではないでしょうか。

それだけでも、十分な“栄養”になると思いますよ。