書籍「不登校そうだんしつ」出版

あべが思うこと

たぶん

保護者の方々との話の中で、

お子さんの状況を聞いたり、なにか提案をしたりすると

 

「たぶん、ウチの子は嫌がります」

「たぶん、そういうことはしませんね、ウチの子は」

 

などと「たぶん」で始まる答えになることがあります。

 

 

この「たぶん」が多いなと感じる場合は、

ちょっと気をつけましょうね。

 

「たぶん」の内容について、

本当にそうなのか、100%そうなのか、

以前はそうだったかもしれないけど今でもそうなのか、と

ご自身で問いかけてみましょう。

 

子どもたちが嫌がることの1つが「決めつけ」です。

 

本人は○○なのに、

「ウチの子は▲▲だから」と言われてしまう、そんな「決めつけ」。

 

「たぶん」ばかりで判断をしていると、

「決めつけ」を生みやすくなります。

 

人間の状態は日々時々で変わります、それは大人も同じ。

 

昨日がそうだったからといって、

今日もそうとは限りません。

 

保護者が「たぶん」で決めつけてしまうことで、

本人も自分のことを決めつけてしまいかねません。

「どうせ私は▲▲なんだ」と。

 

「たぶん」ではなく、

言葉で聞いてみましょうね。

 

 

そして、

「たぶん」が多くなることで

もうひとつ気をつけたいのは「会話が減ること」です。

 

「たぶん嫌がるだろうな」と思ったけど、言葉にして聞いてみた。

やっぱり「嫌だ」という言葉が返ってきた。

 

そうなると、

「ほら、やっぱり、聞かなきゃ良かった」という気持ちになり

「たぶん」が強化されていきますよね。

 

しかし、

回答はどうあれ、

親子の間で言葉のキャッチボールが交わされることには変わりません。

 

言葉で聞いて、言葉が返ってくる。

それだけでも十分なコミュニケーションです。

 

「たぶん」が多くなると、

親子間での言葉が減り、家庭内の言葉も減ることで、

言葉の少ない雰囲気になっていきます。

 

言葉が少ないと、余計に話しづらい、

そしてさらに言葉が減る、そんな雰囲気が当たり前になる。

 

言葉のやりとりよりも、言葉にしない判断が増えます。

本人に聞くよりも、推測が増えます、「たぶん」が増えます。

 

もちろん、

毎日のように同じ質問をする必要はないですし、

しつこく何度も聞いたり、強く回答を求めたりしなくてもいいです。

 

望む回答を期待しすぎず、

「言葉を増やす」「やりとりをする」だけのイメージで構いません。

 

言葉があるのかないのか、

それだけで、

親子間、家庭内の雰囲気がより良くなります。

 

言葉もなく推測ばかりの雰囲気と、

言葉が交わされる雰囲気の、

どちらが回復に近づきやすいかは、明らかですよね。

 

そして本人たちの嫌がる「決めつけ」も防ぐことができます。

 

 

「たぶん」はジャマなのです。

 

よく保護者のみなさんから

「ウチの子は、思っていることを言わない」などと耳にしますが、

それはみなさんが「言葉で聞いていないから」かもしれません。

 

なんでも推測されてしまったら、

質問もされないわけですし、

それでは答えようもありません。

 

 

「たぶん」と思うことがあったら

それを言葉で聞いてみる。

 

ちょっと意識してみて下さい。

 

答えてくれたら「やっぱり」ではなく

「勝手な決めつけにならなくて良かった」

「言葉のやりとりができたから良かった」

「意思表示をしてくれて良かった」ですからね。

 

その瞬間は

家庭内の雰囲気も「良かった」はずです。

 

そして、

いずれ本人も、

そう感じてくれるようになるはずです、たぶん。

 

 

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