進路選択と世代差
わかりづらい記事になる気がするのですが、書きますね。
多くの受験生が、志望校を決める時期となりました。
例えば、
いまこの記事を読んでいる、あなたは、
以下3つのうち、どの学校を志望校にしますか。
頑張れば合格できそうな「A校」、
少し頑張れば合格できそうな「B校」、
あまり頑張らなくても合格できそうな「C校」
ここでいう「頑張る」は勉強のこと。
学校の偏差値は、A校>B校>C校、とします。
保護者の方の多くは、「A」か「B」になると思います。
しかし、ここで
「C」を選ぶ子が、年々増えています。
頑張ってまで行きたくない。
頑張って入ったのでは、後からが大変。
頑張らなくても受かる学校の方が、入ってからの居心地が良さそう。
このように考える子が、増えています。
たしかに一理ありますよね、現実的でもあります。
こうした考えが昔には無かったというわけではないでしょう、
ボクと同世代でも、同じ考えで学校を選んだ人はいましたし。
ただ、年々増えています。
保護者世代からすれば、
歯がゆいとか、情けないとか、もったいないとか、残念だとか、
どうしても、「もっと頑張りなさい」と言いたくなることでしょう。
でも、それが世代差なのかもしれません。
前述の通り、
おそらく保護者の方は、「A」「B」を選ぶ方が多いはずです。
それは、
そういう学校の方が幸せになれる、という意識づけをされて育ってきている世代だからです。
イイ学校に入れば、イイ会社に入れるし、イイ会社に入れば将来は安泰=幸せ
という図式ですね。
この価値観を、強く刷り込まれています。
これが祖父母世代になると、
意識づけをされているのではなく、
そうしたことを、自分自身で体感してきています。
先の問いを祖父世代に尋ねたら、
「A」ばかりになるのではないかという気もします。
「C」みたいな生き方をヨシとするのは、ある程度の年を重ねてからになるでしょう。
祖父祖母世代の方々は、自分たちが体感してきたことを、
保護者世代へ一生懸命に伝えてきました。
しかし、時代の変化は激しいです。
戦後6~70年のスピード感は目まぐるしいものがあります。
保護者世代は、
もともと刷り込まれたものを、子どもたちへ伝えようとしていますが、
実はその通りにいっていない、つまり、体感できていない方も多いはずです。
就職氷河期、リストラ、ストレス社会、などは、
保護者世代が大人になって初めてメジャーになった言葉ですよね。
「本当にイイ学校へ入れば幸せなの?」という問いに、自信を持って答えられない方もいらっしゃるでしょう。
祖父世代へ聞けば、「あたりまえだ」と断言するかもしれないですが。
祖父祖母世代から受け継いだものを、
子ども世代へ伝えようとしているのですから、ギャップが生じるのは当然です。
世代差を挙げればキリがありません。
祖父祖母世代が、たくさんの兄弟姉妹や、近所の人々に囲まれて育ったとすれば、
子どもたち世代は、核家族・共働き・ご近所づきあいも少ない、という中で育ったりしています。
生まれたときから携帯電話やインターネットというものがある世代なんです。
ボクたち大人は、
この世代差というものを、強く意識し、そして認めなければいけないと思っています。
誤解のないように書いておきますが、学歴の否定ではありません。
ボクは、学歴はあった方がイイと思っていますし、
「学歴がないと就職に不利」などの現実は、きちんと子どもたちへ伝えるべきだという考えです。
しかし、「就職で不利」ということに対して、
「だからなんなんだ」という価値観を持つ子どもたちが増えていることは、自覚し、そして尊重していきたいものです。
「就職」と「幸せ」が結びつかない発想を得ていたりするのですから、それはむしろ大人が学ぶべき点かもしれません。
バランスの問題なのですが、
現実はこうだよ、大人からの意見はこうだよ、自分はこう思うよ、ということを教えつつ、アドバイスしつつ、
だけど、彼らの価値観は十分に認めてあげる、というイメージですね。
話を冒頭に戻します。
というわけで、
“上”を目指すのではなく、“居心地”を求める子が増えていることを、
志望校選びなどの進路選択で感じています。
こうした現象を受け入れ、認め、尊重し、
その上で、理由を聞いたり、アドバイスをしたりすることが必要ではないかな、と。
だけど、「C校」を選んだ生徒が、
「偏差値は低いけど、自分のやりたいことはC校にあるんだ」なんて言ったりすると、
もうアドバイスなんていらないな、と、
この世代を、ずいぶん頼もしく感じたりします。