マニュアルが欲しいですか
「不登校対応マニュアル」というものがあったら、
保護者の皆さんは欲しいでしょうか。
欲しいと言われる方は多いと思います。
〇〇円で販売します、と言っても欲しいでしょうか。
おそらく、それでも買いますという方はいらっしゃると思います。
ですが、
いわゆる「マニュアル」というものは、存在しないとボクは思っています、こと不登校に関しては。
あればイイですよ、
ホントに正しいもので、そしてプラスになるものであれば。
でも、難しいです。
マニュアル化なんて。
明らかな事実についてはマニュアル化することが可能ですが、
個々のケースがあまりにも違うものについてマニュアル化することは、
むしろ危険だと思っています。
料理のレシピや、
電化製品の取扱説明書みたいには、いかないです。
一般のマニュアルであれば、例外は例外として処理できたりしますが、
お子さん自身が「例外」にあてはまったとき、
そのマニュアルは全く機能しないものになります。
そもそも、
マニュアルにそって育てようとし過ぎてしまったことが
不登校の原因のひとつになることはあります。
「子育てマニュアル」を読んでいるいないに関わらず、
保護者の方のアタマの中に、なんとなくすでにマニュアルがあり、
ついついその通りにしようとし過ぎてしまって、お子さんがつらくなってしまっている、ということはあるでしょう。
例えば、保護者の方々が、
自分たちが育った通りにしようとし過ぎてしまった、とか、
もしくは、自分たちの理想通りにしようとし過ぎてしまった、とか。
それによって、本人がつらい思いをしたり、そして保護者の方も苦しくなってしまうのであれば、
そんなマニュアルなんて無かった方が良かった、とも言えるわけです。
マニュアルの最も大きな弊害は、
その存在自体にあるのではなく、
「その通りにいかなかった時に起こるパニック」
だと思っています。
マニュアル通りにいかなくて、
その時に、「マニュアル通りにいかない時のためのマニュアル」というものがあればイイのですが、
そんなものはないために、
どうしてイイかわからなくなり、気持ちが落ち着かなくなり、
そしてついつい起こしてしまう言動が、子どもたちに影響を与えていたりするものです。
だったら、最初からマニュアルなんて無い方がイイんです。
しかし、
「このブログだってマニュアルっぽいことが書いてあるじゃないか」
と言われるかもしれません。
たしかにそうです。
「こういう時は、こうした方がイイ」とかって、書いてあったりします。
それは、アドバイスです。
決してマニュアル化しているわけではないです、
繰り返しですが、それは危険だと思っていますので。
ボクは「こんな風にしたらどうでしょう」という感じの内容をブログに書くことはありますが、
これでも結構アバウトに書いています。
それは、全てのケースにあてはまるとは限らないからです。
ボクにメールなどで相談を下さった方の中にはわかる方もいらっしゃるかもしれませんが、
ブログよりも、メールの方が、より細かく書かせてもらっています。
状況がわからないままに書くことは難しいからということもありますし、
なによりも、ボクの考えがブログを通してマニュアル化してしまうことを危惧しているからです。
なので、
マニュアルではなく、アドバイスとして読んで頂けるとイイなと思っています。
少し余裕を持って、読んで頂いた方がイイと思っています。
思った通りにならなかったときに、動揺しない程度に読んで頂きたいと思っています。
「それは、自分のアドバイスが外れた時の言いわけじゃないのか」
と感じる方がいるかもしれませんけど、違います。
ボクが言いわけをするとかしないとかは関係なく、
外れたときに心配なのは、保護者の方の気持ちの面です。
マニュアル通りにいかなくてパニックになる、のは
マニュアルばかり読んでしまっているから、ということが考えられます。
皮肉なものですけどね。
仮にマニュアルというものがあって、それを生かそうとするならば、
そのマニュアルを読むばかりにならないようにすることが大切です。
マニュアルであれ、アドバイスであれ、参考にするのはイイことです。
実際、アドバイスは欲しいですよね。
専門家や経験者の意見は貴重ですし、保護者の方にも本人にも大きな助けになったりします。
しかし、それは「参考」にはしても「その通りになると思いこむ」ことは、しすぎないで下さい。
マニュアルばかりに目を向けすぎないで、
その目を、お子さんに向けてみたり、
その目を、ご自身のココロに向けて下さい。
お子さんの表情に目を向け、声に耳を傾け、
マニュアルで埋まってしまいそうなココロに余裕を作って、
マニュアルでギュウギュウにしばられないようにして下さい。
しいて言えば、
それこそが、“マニュアル”かもしれません。