書籍「不登校そうだんしつ」出版

あべが思うこと

ちから

ボクは学生時代に卓球をやっていました。

卓球は、ご存知の通りラケットでボールを打つスポーツなのですが、
上手な選手は、
ラケットを柔らかく握ってボールを待ちます。
肩の力も、腕の力も、そしてラケットを持つ手の力も、
ガチガチに力を入れてボールを待つことはありません。

そして、ボールを打つ瞬間にだけ、
最大限の力を入れるのです。
強いボールを打つときには、それこそ足の先から全ての力をボールの一点に集中させて打ち抜きます。

逆に、全身や腕や手に力を最大限に入れてボールを待っていると、
肝心の打つ瞬間には、なぜか力が入らなくなるのです。

なので、上手な選手は、
ラケットを柔らかく握って、少し力を抜いて、ボールを待つのです。
ずっと力を入れていたのでは、かえって力が出せないことを知っているからです。

たいていのラケットスポーツはそうです。
打つ瞬間に力を発揮するためには、
それまでに、いくらか力を抜いていないといけません。
常に最大限の力を加えていたのでは、かえってうまくいきません。


自動車の運転をされる方ならわかるかもしれませんが、
ハンドルを握るときも似ています。

ずっと力を入れていたのでは、
かえってカーブも曲がりづらかったりしますし、
むしろ、危ない目に遭う確率も高まるものです。

ハンドルには手を添えるくらいであっても、
ちゃんとクルマは進んでくれますし、
普段はいくらか力を抜いておいた方が、かえってスムーズに運転できます。
そして、まんがいち危ない場面になったときになどに、
しっかりと握ることができるわけです。


ここまで書くとおわかりでしょうけれど、
「子育て」も同様だと思っています。

もっと言えば、人生そのものも、似たようなものかな、と。


ただでさえ、
「親」というのは気が抜けないものかと思います、四六時中。

でも、だからといって、
ずっと気を抜かず、気を張って、力を入れすぎていたのでは、
かえってうまくいかなかったり、
いざというときに力が出なかったり、
あまりいいことがないかもしれません。

「手抜き」というと聞こえがわるいですが、
「力抜き」といった感じで、
すこし力を抜く時間、あるいは力を抜いた行動や考え方は必要だと思います。


「なんとかなるだろ」とか「まぁ、いいか」といったセリフを口に出してみたり、

あるいは、
「自分だけの時間を数分でも作る」「リラックス方法を知っておく」といった行動であったり、

ちょっとした「力抜き」は、積極的に行って欲しいです。

これは「手抜き」ではありません。
なので、お子さんのために、ご自分自身のために、やるのです。

力を抜いたときにこそ、本来の感情が現れることもあります、そして本当の力を発揮できたりします。
いったん力を抜くことで、いざというときに
アンテナが研ぎすまされ、行動にメリハリが生まれ、目つき顔つきが変わったりもします。
だから、そのために、力を抜くのです。

ボールを打つ瞬間のため、
クルマの運転で事故を防ぐため、いくらか力を抜くのです。

イメージだけではなく、
実際に力を抜く瞬間を意識して行ってみるのもいいと思います。
肩の力をフッと抜く、とか、
意識をしてみると、意外に力が入りすぎていることは普段の生活の中でも多かったりします。

そう、いまこの記事を読んでいる、この瞬間にも、
フーッと息を吐きながら、肩を下ろして、力を抜いてみて下さい。

息を吐き終えたら、
ちょっと背すじを伸ばして、ちょっと上を向いて、

「なんとかなる」と言ってみて下さい。

たまにはそうやって、「力抜き」を。