書籍「不登校そうだんしつ」出版

あべが思うこと

プロですら

その方と出会ってから10年以上が経ちます。

さまざまな生徒や保護者への対応について、

駆け出しのボクに色々と教えて下さいました。

 

また、その方の手法を参考にさせてもらったり、

使っている資料を拝見したり、

とにかくお世話になりました。

 

知識も経験も豊富。

その方が担当されていた保護者の方と話したこともありますが、

みなさんホントにその方を信頼されていて、

 

まさに、「プロ」でした。

「プロ」のカウンセラーであり、まぎれもなく“先生”でした。

 

ボクよりも、10いくつか年上。

 

いつもオシャレにしていて、とってもダンディな方。

 

その方には、お嬢さんがいらっしゃいました。

 

あるとき、相談を受けました。


お嬢さんが不登校になった、と。

 

当時、中学生。

中学受験をして第一志望の学校へ入学し、

しばらく通っていたものの、いつしか不登校になった、と。

 

正直、ビックリしました。

 

不登校なんて、どの家庭にも起こるもの、とアタマではわかっていましたが、

多くの不登校生を担当してきた先生のお子さんが、ってのはビックリ。

 

そして、さらにビックリしたのが、

 

お嬢さんを、ボクに担当して欲しい、と言われたことでした。

 

いやいや、

ボクなんかが担当するよりも、先生がご自分でなさった方が、と

当然のようにボクはお断りしました。

 

しかし、

先生はもう決断してから、ボクに話をされたようです。

 

お断りなど聞いてはもらえず、逆に

 

「親子じゃ無理です」と断言されてしまいました。

 

迷いました、もちろん。

 

しかし、

迷った末に、結局はお預かりすることにしました。

 

「先生が預かれなかった生徒を預かったんですよ、すごいでしょ」

 

っていう自慢話じゃありません。

 

「なんだ、先生は自分の子も何とかできないのか、ダメだな」

 

とか、そういう話でもありません。

 

ボクが言いたいのは、

 

「親子というものは難しい」ということです。

 

「親子」は、ホントに難しい。

 

他人の子供には聞けることも、自分の子供には聞けなかったり、

自分の子供のはずなのに、なにを考えているのかサッパリわからなかったり、

 

いちばん近くにいるはずなのに、なぜか遠い存在に感じたり、

 

とにかく、

難しいものだと思います。

 

「親子」というものは難しい、と知っていたからこそ、

先生は「父親」として、

「他人」であるボクにゆだねたのでしょう。

 

それまでに1000人以上の生徒を担当してきた先生なのに、

自分のお子さんは「無理」と判断したのです、「親子である」という理由で。

 

その決断には、今でも本当にアタマが下がります。

 

もちろん、

知識もキャリアも豊富な先生ですから、

ご自分で見守る選択肢もあったかと思います。

 

また、

実際に、親子で不登校と向き合っていらっしゃる方も多いと思います。

 

それでもやはり、

「親子」というものは難しい、それは間違いないことでしょう。

 

難しいんです、難しい。

 

だから、いま悩んでいる保護者の方の中で、

「難しい、難しい、ウチの子は難しい」って感じている方がいらっしゃるとしたら、

 

それは不思議なことでも特別なことでもないんです。

 

難しいんです、親子ってのは。

 

 

「ウチの子は難しい」というわけではなくて、

どんなご家庭でも、親子というものは難しいんです。

 

プロの先生ですら、他人に任せたのです、それくらい難しい。

 

むしろ、

プロであるがゆえに、難しさを知っているがゆえに、他人に預けたのでしょう。

 

「こんなに難しい子になっちゃって、なにが間違っていたか」

 

「子育てなんて難しすぎる、ワタシには無理」

 

そう感じている方もいらっしゃるかもしれません。

 

でも、それは特殊なことじゃありません、みんな難しいんです、親子は難しいんです。

 

難しいもんなんだ、

 

どの家庭だって、難しいもんなんだ、

誰にとっても、難しいもんなんだ、

もともと、難しいもんなんだ、

 

そう思っていて下さい。

 

プロですら、そう感じていたのですから、

みなさんが親子関係を難しく感じるのは、自然なことなのです。