書籍「不登校そうだんしつ」出版

あべが思うこと

夢を見せない

あくまでもボクのスタイルとして、です。

また、誤解を招きそうな気がするので、
いずれ補足した内容も「メッセージ」のテーマで書こうと思います。

なので、あまり深読みせずに、
肯定的にとらえて頂いた方がいいと思います。

と、前置きをしておいて。

時たまスタッフらへは言うのですが、
ボクらの仕事や役割は、
「夢を見せること」ではないと思っています。

子ども相手であれ、保護者であれ、
ご相談を受ける際に、
あまり夢を見せてはいけないと思っています。

ご相談を受ける立場としてのボクらの役割は、
「夢を見せること」よりもまず、
「事実を伝えること」です。

例えば、
学校へ通えていない高校生に対して、
「大丈夫、大丈夫、学校なんか行かなくなって、絶対に就職できるから大丈夫」
と言った形で夢を見せることは、あまり好みません。
根拠がないことは、あまり言わない方がいいと思っています。

偏差値の高い大学を出ても就職のできない方はいますし、
学校を休んだことがなかったのに、就職をしても続かずに苦しんでいる方もいます。

それが事実なのですから、
あまり夢ばかり見せてもいけません。

しかし逆に、
「学校へ通っていなかったけれども、就職をして頑張って働いている人もいる」
という事実もあるわけなので、
そちらもしっかりと伝えてあげたいところです。

必要以上に夢を見させず、
だけど、必要以上に落ち込ませることもなく、
その手段として使えるのは、あらゆる「事実」です。

夢を見させることよりも、
とにかく事実を伝えていくことにまずは集中した方がいいですし、
実際、ボクが最も力を注ぐのはその部分です。

嫌われている、と思っている子に対して、
「それはない」という事実を伝えるために、
こちらのあらゆる力を使うわけです。

ウチの子はお先が真っ暗、と思っている保護者に対して、
「それはない」という事実を伝えるために、
厳しい現実も伝えつつ、しかし、そうではない事例などもきちんと示していくわけです。

夢を持って欲しい、夢を見させてあげたい、
という気持ちは素晴らしいと思います。

ただ、こちらの役割としては、
夢を見させてあげる、というよりも、
事実を伝えてあげること、を優先した方がいいです。

あまりにも根拠の無い夢を見させてしまっては、
無責任なことになりかねず、かえってつらさを与えてしまう可能性もあります。

中学生の相談を受けているとして、
そのまま10年くらい継続することが決まっていれば、
その場だけで満足するような、
あまり無責任なことも言えないでしょう、
あまり夢ばかり見させるわけにもいかないでしょう。

しかし、それくらいでちょうどいいと思っています。
相談が終わっても、人生は続きますしね。

なんとなく伝わりますでしょうか。

ボクの考えとして、
夢は、こちらから与えるものではなく、自分で見つけるものだと思っています。

だとすれば、
あえてボクらが夢ばかり語る必要などなく、
それよりも、とにかく事実をしっかりと伝え続け、
それにより、
夢を見やすい、見つけやすい、といった思考や環境を作っていけるならば、
それがいいのだろうなとは思っています。

曲解しないで下さいね。
違うだろ、と言いたい方は前置きを読んで落ち着いて下さい。
目指すところは一緒だと思いますので。