書籍「不登校そうだんしつ」出版

あべが思うこと

いつでも

ある保護者の方との小さなエピソードです。

その方から、
メールでご相談を頂いたのが初めての接点でした。

その後、
メールにて数往復のやりとりをさせて頂いていました。

それからしばらく経ちました。
具体的には、1年以上が経過した頃、
久しぶりにメールを頂きました。

メールアドレスとお名前を確認し、
ずいぶん久しぶりだなと思いながら、メールを読みました。

メールの内容は、
簡単に言えば、
あれからお子さんの状態が好転し、その方も気持ちが楽になり、
いまは前向きに過ごせているというものでした。

気になっていたご家庭だったこともあり、
良かったですねという気持ちと、
あと1つ、
「それは本人だけでなく○○さんも頑張ったからだと思いますよ」
という文面をお返事にして送りました。

するとまたメールが返ってきました。

そのメールによると、
「頑張ることができた理由」は、
かつてボクが送ったメールの1つの文章だったとのこと。

それは、
「なにかあったら、いつでもご連絡下さい。」
という一文だったそうです。

この言葉が、ご本人にとっては支えになったと
言って下さいました。

なにかあったら連絡しよう、
なにかあったら連絡をすれば聞いてもらえるし、
なにかあったら連絡をしてアドバイスをもらえばいい、
そんな気持ちでいられることで、
とても安心できたようです。

なので、頑張ることができた、と。

「いつでもご連絡下さい」とは言ったものの、
その後、実際には1年以上もご連絡を頂くことはなく、
久しぶりにメールを頂いたというのは前述の通りです。

このエピソードで何を伝えたいかと言えば、
ボクが自画自賛をしたいわけでは、もちろんありません。

「いつでも連絡して」という一言により、
安心できて、頑張ることができた、
ということを、
ぜひ親子関係にも
あてはめて頂きたいなと思います。

なにかをしてあげるとか、行動を促すとか、
そうしたことが大切な場面もありますが、
それよりも、
「なにかあれば、いつでも話を聞くからね」という姿勢を
伝えてあげられれば、それが何よりの力になることもあるわけです。

なにもしない、なにもさせない、
だけど、
なにかあったら、
いつでも話を聞くからね、
必ず話は聞くからね、 絶対に味方だから安心して話してね、
そんな気持ちを伝えてあげたいですね。

困ったとき、悩んだとき、つらいとき、
「いつでも話を聞くよ」と約束してくれている人がいることは、
なによりもの支えになったりします。

実際には話をしてくれることがなくても、
実際には全く本音が見えなくても、
その気持ちが伝わっているだけで、そうした言葉が記憶に残っているだけで、
人は前向きに頑張れたりするわけです。

あらためて、1つのエピソードが
それを教えてくれました。